まとめ

オウンドメディアのEC参入って簡単?ほぼ日やクックパッド事例にみる戦略

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オウンドメディアのEC参入って簡単?ほぼ日やクックパッドの事例にみる戦略

オウンドメディアのマネタイズに関する記事「オウンドメディアのマネタイズをあきらめる前にやるべきこと」が、わりと好評いただいてます!やっぱり収益化はオウンドメディア担当にとって、大きな課題といえるわけですね。

一般的にオウンドメディアとECというと、「北欧暮らしの道具店」のようにEC事業会社がオウンドメディアに参入するケースがほとんどでした。でも近頃はオウンドメディア運営企業が、ECに参入する事例も出てきました。

今はECシステムを簡単に構築できるASPサービスも増えていますし、手軽にECを始められるようなイメージありませんか?オウンドメディアである程度うまく行ったら、次はEC参入を狙う!なんてところもあるかも(?)。

とはいえ実際にはEC参入となると、いろいろ大変ですけどね。筆者自身もかつてオウンドメディアからEC参入する案件に関わった経験がありますので。

まずは、オウンドメディアからEC事業に参入した事例を参考にしてみましょう。ほぼ日(ほぼ日イトイ新聞)やクックパッドといった有名企業の事例もおさえつつ、2018年にECに参入したばかりの「SAKETIMES」の事例も注目してみました!

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手帳だけで23億の売上!オウンドメディアのEC成功事例「ほぼ日イトイ新聞」

ほぼ日イトイ新聞」はオウンドメディアの先駆けとも言える存在なので、ご存知の方も多いはず。1998年にコピーライター糸井重里氏が立ち上げたオウンドメディアで、すでに20年以上運営されている老舗です。1日で100万アクセス以上あると言われています。

ほぼ日では2001年からEC(物販)に参入。主な商品はオリジナル手帳「ほぼ日手帳」です。なんと2018年9月~2019年2月の売上は、この手帳シリーズだけで23億円。日本のみならず世界で販売されているそうです。

ほぼ日というオウンドメディアがなぜここまで人気が高く、物販も好調なのか理由が気になるところですね。

まずは、オウンドメディアとして他のサイトにはない独特の魅力があるという強み。糸井氏の存在自体がブランドというわけです。またオウンドメディアにとしては珍しくPRがほぼないという特徴もあります。たいていアクセスが増えるとPRを淹れたくなりますが、ブレずにオウンドメディアのコンセプトを維持しているというのも強みだと思います。

他では買えない(当初はほぼ日サイト限定でした)オリジナル商品だった点も人気が出た要因ですね。また商品開発にファンを巻き込んだ点も大きいですよね。最近はファンの声をもとにプロダクトを改良するところもありますが、ぼほ日は十数年前からそれをやっていたわけです。

ほぼ日の事例は糸井氏の存在がとにかくすごいので、他社がそのままマネするというのはかなり厳しいですね。とはいえ、「固定ファンの獲得」「ファンを維持するためのコンテンツクオリティ保持」「他にはないオリジナル商品の開発」という3つはオウンドメディアのEC参入に必要な要素ということがよくわかります。

レシピメディア「クックパッド」が生鮮食品EC参入!その狙いとは?

大手レシピメディアのクックパッドも、生鮮食品ECに参入。「クックパッドマート」というECを2018年からスタートさせました。月間利用者数が5000万人以上といわれるクックパッドの会員向けサービス?と思いきや、ちょっと違うようです。

クックパッドマートは、クックパッドが自ら商品を提供するものではなくて、中小規模の食品店が登録するECプラットフォーム。楽天市場みたいな感じですね。配送や決済といったところはクックパッドが管理しています。

生鮮食品ECはオイシックスなどの競合が多くあるので、どうかな?という感じですが。一方クックパッドマートは「送料無料」「生鮮食品を冷凍せず当日出荷」「受け取りは自宅ではなく地域の店舗などにある専用ボックスに取りに行く」というほかのECにはない特徴があります。ネットスーパーのようであり、UberEatsのようでもあり…従来の生鮮食品ECとはかなり違う仕組みですね。

収益としては、加盟店から売り上げの一部を手数料としてもらうビジネスモデルのようです。今まで有料会員の会費や広告収入がメインだった収益構造を変えたいのかな?という戦略もうかがえます。ここ最近ではクックパッドの会員数も減少傾向で動画レシピサイトにユーザーが流れている…という話も聞きます。

オウンドメディアからのEC参入としては大規模な新規ビジネスすぎるので、他社が参考にできるポイントはあまりないかも。ただ他社と同じECをやっていても勝てない、ということはよくわかります。ECが本業でない以上、競合との差別化がより重視されると思います。

ちなみにこのサービス、現状ではクックパッドのメディアや会員との連動性がいまのところあまりないように見えます。今後の戦略が気になるところ。

日本酒オウンドメディア「SAKETIMES」はオリジナル日本酒のECをスタート

スタートアップ系のオウンドメディアの中でも、EC参入事例が出てきました。日本最大級の日本酒専門のオウンドメディア「SAKETIMES」では、2018年7月オリジナル日本酒ブランド「SAKE100」を立ち上げECに参入しました。

日本酒専門のオウンドメディアながら、月間利用者は40万人と集客にも成功しています。さらにグローバル版メディア「SAKETIMES International」も展開。海外で人気の高い日本酒ならではですね。

オリジナルブランド日本酒をECで販売するにあたり、オウンドメディアの運営で培った全国酒造メーカーとのネットワークも活用したといいます。さらに老舗酒屋の買収にも取り組んでいます。

オウンドメディアでファンや製造者とつながりを深め、その強みを生かしたECというのは理想的かもしれません。(おそらくオウンドメディアの立ち上げから、EC参入の構想はあったと予想します)

運営会社のサイトを見ても、サービス紹介には一番上にEC事業が出てきています。そのあとにオウンドメディアの紹介が掲載されているのを見ても、ECメインで行く戦略がわかります。さらに7,500万円の資金調達も行い、事業拡大に取り組むらしいです。

なおオウンドメディアを見ても、ほぼ日と同じく広告バナーなどはほぼ見当たりません。タイアップ広告のメニューも設けられていますが、あくまで月1本の連載記事というタイアップ記事のスタイルをとっています。こういった単に広告収入だけを目指していない姿勢も、オウンドメディアとしてのクオリティ維持につながっているのかもしれないですね。

まとめ

オウンドメディアのEC参入事例をみると、いずれもかなり本気でECに参入していることがわかります。単に市販されている商品を集めてECにする、というのではなく「オリジナルで開発した商品」「他社にはない独自のサービス」といった強みを持たせているところに注目です。

ECシステム自体は手軽に用意できるようになったものの、他にはない独自性を持たせないとECとしての成功が難しい、ということがよくわかります。固定ファンの獲得やメディアとしてのブランド確立も重要ですが、それだけでは厳しいわけです。

たまに「オウンドメディアがセレクトした商品がECで買えます!」というところもありますが、これだけだと売上は伸びにくいと思います。

オウンドメディアとECの親和性は高いというのは事実ですが、EC参入にはやはり独自性が求められますね。まずはそのあたりから、戦略を立てていきましょう!