まとめ

朝日新聞のバーティカルメディア6事例は成功する?

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朝日新聞のバーティカルメディア6事例は成功する?

ニュースアプリを手掛ける「グノシー」など、2018年に入ってバーディカルメディアを始める企業が増えてきました。このサイトでもバーティカルメディアについて解説しましたが、オウンドメディアをさらにあるジャンルに特化させたのがバーティカルメディア。

参考記事:「バーティカルメディアとは?オウンドメディアとの違い

本格的にバーティカルメディア事業に取り組んでいる事例はまだ国内では多くありません。そんな中、最近特に注目度が高いのが朝日新聞。

朝日新聞では2018年9月時点で6つのバーティカルメディアを運営しています。大手メディアでありながら、「ペット」や「おひとりさま」といった尖ったテーマでバーティカルメディアを次々と立ち上げた点が大きな特徴。まだ立ち上がって間もないところですが、今後の動向にWeb業界で注目する人も多いようです。

オウンドメディア担当者の方の中には、「今後うちのオウンドメディアもバーティカルメディア化していくべきか」と考えている方も多いかもしれません。そこで朝日新聞の事例をもとに、バーティカルメディア動向を解説します!

朝日新聞のバーディカルメディア事業とは

朝日新聞では2018年3月にバーティカルメディア事業を「ポトフ」というブランドで立ち上げ、6つのバーディカルメディアを運営しています。

  • 「telling,」(ミレニアル世代女性)
  • 「DANRO」(おひとりさま)
  • 「GLOBE」(国際ニュース)
  • 「sippo」(ペットライフ)
  • 「好書好日」(ブックライフ)
  • 「なかまぁる」(認知症)

(※2018年10月5日時点)

並べてみると本当にバラバラなジャンルであることがわかりますね。なおこの中でGLOBEは朝日新聞本紙と連動(※毎月「GLOBE」という特別紙が発行)しています。

従来あった朝日新聞サイトのコーナーがリブランディングしたケースもありますが、GLOBE以外のバーティカルメディアは、基本的にWeb単独のブランドとなっています。

なお6つのバーティカルメディアでは、朝日新聞という社名をあまり前面に出していないことにお気づきでしょうか。従来の顧客とは違う、新しいユーザーへのアプローチを目指していることがうかがえます。

バーティカルメディア事業を進めるための制作体制

実は朝日新聞では、2016年にオウンドメディアの制作・運営会会社であるサムライト社を買収しています。今回バーティカルメディアを短期間に次々立ち上げられたのは、こうした背景も大きいでしょう。

それぞれのコンテンツも、やはり大手メディアだけあってボリューム・クオリティともに充実させています。このあたりは一般的なオウンドメディアやキュレーションメディアと差別化したいという朝日新聞の意気込みが感じられます。(予算もそれなりにとっているはず)

なお、すべてのバーティカルメディアはスクラッチ開発したCMS「ポトフ」がベースになっているそうです。CMSを共通化することでバーティカルメディアを立ち上げやすい環境を整えているほか、運用やデータ分析の効率化にもつながっていると思われます。

朝日新聞がバーティカルメディア事業に力を入れている狙いとは?

既存メディアでは、広く浅くというタッチポイントになりがちです。一方バーティカルメディアではテーマを絞ることで固定ファンをつかみ、コミュニティ化するというのが目的のようです。バーティカルメディアのリリースにおいても、以下のようにコミュニティづくりに注力する方向性を打ち出しています。

今後も順次、バーティカルメディアを立ち上げる一方、各バーティカルメディア編集部は同じ価値観を持つ人たちのコミュニティづくりを目指していきます。

引用元:「バーティカルメディア3サイトを新規オープン」(朝日新聞社プレスリリース)

コミュニティを強化するのは、やはりデジタル広告の強化につなげたいという狙いのはず。バーティカルメディアはユーザ―の属性も絞り込まれているため、広告がつきやすいという特性があります。ただしバーティカルメディア事業の責任者は、今後はイベントなど他のマネタイズも探っていきたいとインタビューで語っています。

「現状は広告モデルを採用しているが、今後はイベント、eコマースなど、各メディアに最適なマネタイズ方法を模索していく」
引用元:朝日新聞社 が「ポトフ」で切り拓く、新聞メディアの未来:「伝える」から「つなげる」へ(DIGIDAY)

例えばペットライフをテーマにしたバーティカルメディア「sippo」では、いわゆるペット関連記事ほか、獣医にオンラインで健康相談ができるコーナーも設けられています。今後こうした機能を収益化につなげる狙いもあるかもしれません。

また認知症をテーマにした「なかまぁる」では、バーティカルメディアを立ち上げたのと同じタイミングで「認知症フレンドリーイベント」を開催しました。このイベントではなかまぁるの編集長もトークセッションにも参加しています。

このイベント自体は知名度アップにつなげる目的がメインと思われますが、将来は医療・介護事業者向けにイベントやセミナーを開催してマネタイズを狙うという可能性もあります。

規模の大きな朝日新聞本体では取り組みづらい新しいことを、小規模のバーティカルメディアならチャレンジしやすいという位置づけですね。

朝日新聞が進めるバーティカルメディア事業の課題とは

それなりのコストをかけていると思われる、朝日新聞のバーティカルメディア。実際それぞれのメディアを見ると、従来の朝日新聞にあるイメージとは異なる方向性ということはよくわかります。とはいえ他社との差別化に成功しているかと言われると、正直微妙なところも…。

複数あるバーティカルメディアの中でも、ミレニアル女性やペットライフといったジャンルは、すでに多くの競合メディアがひしめいている状況。まだスタートして間もないところではありますが、他社との差別化がまだうまくできていないように見えます。

一方「DANRO」(おひとりさま)や「なかまぁる」(認知症)といったバーティカルメディアは、他社ではまだ本格的に参入していないジャンル。今後コミュニティが築ければ他社にはない強みとなるかもしれません。

こうした事例を見ると、バーティカルメディアを立ちげる上では、「テーマの設定」が大きな課題である、ということがよくわかります。

またバーティカルメディアを複数立ち上げていますが、まだどのメディアも知名度が高くなく、プロモーション面での課題も大きいようです。CMSを共通化するなどの取り組みとあわせて、6メディアで合同プロモーションを行うなど、活性化をする取り組みも必要かと思われます。

プロモーション面での課題は、ジャンルを細分化したバーティカルメディアならではの課題です。

まとめ

複数のバーティカルメディアの国内事例として、Web業界でも注目度の高い朝日新聞の「ポトフ」。オウンドメディアに強い制作会社の買収、共通CMSのスクラッチ開発などバーティカルメディアを本格的に事業化しようとする姿勢がわかります。

特定のテーマで絞ったバーティカルメディアを使ってっコミュニティを形成し、デジタル広告のほかイベントなどの収益化につなげるというのが朝日新聞の狙い。ただし現状はまだ立ち上がって間もないこともあり、バーティカルメディアとしていくつか課題も抱えています。

確かに朝日新聞のバーティカル事例は予算や体制を十分整えているため、中小企業から見ると正直マネしづらい…という面もあります。ただ本体サイトと別にバーティカルメディアを立ち上げ、マネタイズにつなげる施策を試験導入するような使い方は、どんな企業でも参考になるのではないでしょうか。